四月からアニメ放映が始まった週刊少年マガジンの人気ラブコメ漫画カッコウの許嫁。本作は、取り違え子として育ったヒロインと主人公の二人が許嫁となって、お互いの目的の為に偽装の恋人を演じつつも徐々にお互いの魅力に惹かれ合うラブコメ漫画です。
本作は、主人公の海野凪の許嫁となった天野エリカ以外にも、凪が元々好きだった学校の女の子である瀬川ひろと、今まで妹として一緒に暮らしてきた凪の妹の幸の三人のヒロインが存在し、これまでの三人の関係が徐々に変わっていく青春ドラマが展開されます。一方で、三人のヒロインと凪の間にはそれぞれ特殊な事情が絡みつきます。
メインヒロインであるエリカは、許嫁となったこと以外に、エリカの兄を探す目的があり、凪が好きな女子である瀬川ひろには許嫁が存在し、元々妹だった幸との間には今までの兄妹関係があります。そんな三人との関係の変化に加えて、恋愛模様が交錯していく本作は、
今回はそんなカッコウの許嫁のタイトルの意味や、カッコウの性質である托卵や仮親に託しての子供取り違えと言った行為、カッコウの別名である閑古鳥などの事柄について解説していこうと思います。
カッコウの許嫁のタイトルの意味
カッコウの許嫁のタイトルは、推測するにカッコウと言う鳥の性質を本作の二人の主人公である海野凪と天野エリカの二人の関係になぞらえたものと思われます。カッコウには、「托卵」という性質があり、その性質から特殊な生態をしています。
海野凪と天野エリカの二人の関係は、生まれたばかりの時に病院の手違いで二人の両親のもとに別の家の子供が生まれた子供として預けられた、実の両親とお互いの両親が違うというものです。この取り違えが発覚したことで、凪の両親とエリカの両親は二人を結婚させることでお互いの家の子供にしようと考え、二人を許嫁にします。
この取り違えは、カッコウの持つ托卵の性質によく似たものであり、また、凪とエリカはその話の展開から許嫁になる為、作品のタイトルにカッコウの許嫁とつけられたと思われます。
カッコウは日本で呼子鳥・閑古鳥と呼ばれる鳥
カッコウとは、世界中に生息する種類の鳥であり、特に日本では呼子鳥・閑古鳥とも呼ばれることもあります。呼子鳥も、閑古鳥も実はカッコウの鳴き声に由来した別名です。
呼子鳥とは、カッコウの鳴き声が人を呼んでいるように聞こえることからそう名付けられ、閑古鳥とはカッコウの鳴き声が寂しいものであったことがその由来となりました。また、カッコウの名前自体も、カッコーと鳴いているように聞こえていることから付いた名前です。
いずれにしろ、日本ではカッコウとは鳴き声からその名前を付けられる鳥であり、その鳴き声は人を呼んでいるような物寂しい声であったようです。
話数カウントは「〇羽目」になっている
カッコウの許嫁のタイトルが、鳥類のカッコウが由来であることは単に二人の生い立ちをカッコウの生態になぞらえたものだけでなく、話数カウントがからもわかります。漫画やアニメにおける話数カウントは、作品タイトル、サブタイトルと並んで、作品の世界観を表す重要な要素です。
カッコウの許嫁では、話数カウントは〇羽目になっており、鳥を数える時の単位と同じです。そこから、鳥のカッコウを元にしたタイトルであることが分かります。
話数カウントからして、二人の関係性について述べてくる本作は、二人の関係をどのように着地させるのでしょうか?あるいは、本当に二人を結びつける要素になるのでしょうか?
カッコウは「托卵」する鳥で子育てなどを仮親に托す
カッコウの持つ最大の生態が、「托卵」と呼ばれる行為です。托卵とは、一部の鳥類の中にみられる性質で、自身の卵を別の鳥の巣の中に生み落とし、生まれた雛をその鳥に育てさせる生態のことを言います。
その性質から時に人間の不倫の比喩としても使われますが、本作の場合、子どもの取り違えの比喩として使っているのが作品のポイントと言えます。実は動物園などでは育児放棄した鳥などから卵を育てる親鳥に卵を託し、人工的に托卵を行うこともあります。
また、鳥類はその性質上、生まれたばかりの雛を育て、雛もまた自分を育てくれる種族の違う鳥のことを親鳥として思いこみ懐きます。動物園での托卵や、鳥類の性質は、むしろ本作の主人公とヒロインの家族関係に近いものがあります。
カッコウ(取り違え子)が許嫁になるという意味
本作では主人公の海野凪とヒロインの天野エリカは、生まれたときに病院の手違いにより、取り違えられたという設定です。そんな二人が許嫁になる為、本作はカッコウの托卵の性質になぞらえて、カッコウの許嫁と言うタイトルを着けられたと思われます。
奇しくも、カッコウのように別々の家庭へと托卵されることになった凪とエリカは、育ってきた家庭環境の違い故に価値観に違いがあるものの、お互いの家の血縁者との繋がりがある故にどこか息の合ったコンビプレーを見せます。
その一方で、エリカと凪の関係は単純な恋愛関係で割り切れるものではない為、それが余計にこの二人の関係の変化に響いてきます。
本物のカッコウは偽物の家族の元から飛び立つ鳥ですが、二人の関係性は一体どういう結末を迎えるのでしょうか?そんな二人の様子は既に一つの家族のような関係性であり、ここからどのように変化していくのか目が離せません。
「カッコウの卵って知ってる?」の意味
エリカの父の宗一郎が「カッコウの卵って知ってる?」という意味深な言葉を言っていました。
これを考えると、宗一郎がわざと取り違えを起こしたのではないかとも捉えることができるのではないでしょうか?
正直男の子と女の子で取り違えが起きるなんて普通おかしいです。なぜなら性別が生まれる前からわかっているからです。この漫画ではそのような細かい部分がないのかもしれませんけど、腑に落ちない部分の一つです。
さらにエリカには兄がおり、つまり凪にも兄がいるということで、名前が宗助と言いますが、なぜかいないことにされています。しかし別荘に最近まで過ごしていたような痕跡が見つかり、どこかで生きていると思われます。
宗助はエリカより5歳年上ということですが、何らかの理由で家から離れた。もしくは離されたということかもしれません。ホテル王の父ですから、息子を跡継ぎにする為に離したとか。
ただ、取り違えを起こさせる理由にはなってないですけどね。
カッコウの許嫁の見どころ
カッコウの許嫁の最大の見どころは、複雑に絡みあった主人公とヒロイン達の人間模様です。メインヒロインである天野エリカと、主人公の海野凪は、互いに本当の両親とは別の両親・家族の元で育ちました。
それ故に、二人は既にある意味ではお互いに家族と言える間柄です。その一方で、新たにできた家族との距離感や、今までの家族との間の微妙な関係性の変化などが強く描かれます。
特に、今まで兄妹だと思っていた凪の妹の雪との関係の変化は、物語の本筋に関わる一つの縦軸になっています。そんな複雑な人間関係の変化こそが、この作品の大きな見どころと言えるでしょう。
まとめ
週刊少年マガジンで人気連載中のラブコメ漫画カッコウの許嫁。今回はそんなカッコウの許嫁のタイトルについての考察をお送りました。今回は主に、メインヒロインである天野エリカと主人公の海野凪との間の関係についての考察が多くなりましたが、本作の魅力はこの二人の関係性の変化だけではありません。
主人公の凪が元々思いを寄せていた相手である瀬川ひろや、凪とエリカの二人の妹である海野幸、と言った魅力的なヒロインと、そんなヒロインたちが抱える秘密や思いが凪とエリカの関係に交差する中で、凪は自分の思いと幾度となく向き合います。そんな凪とヒロイン達との変わりゆく関係に思わず胸が高鳴り、眼を放さずにはいれらません。
そんなヒロイン達と凪の恋の行方、それを見守り続ける純粋なラブコメこそが今作最大の見どころであり、魅力です。漫画は11巻まで発売されており、これから先どのような展開を迎えるのか、ますます目が離せません。
義妹の